足音なく忍び寄る膵臓癌【サイレントキラー】
急激に悪化する体調【突然の増悪】
父が腹痛を訴えて総合病院に行き、CTを撮ったその日にすい臓ガンが見つかったのは、2週間ほど前の事です。
すでにステージⅣbの末期でした。
膵臓は上腹部の一番背中側に位置する臓器で、「消化を助ける酵素である膵液を生成し、膵管から十二指腸に分泌する」外分泌と、「インスリンやグルカゴンなどのホルモンを産生し血管内に分泌する」内分泌の2つの働きがあり、この2種類の細胞はまったく性質が違います。外分泌細胞から発生する腫瘍には、浸潤性膵管がん、膵腺房細胞がん、膵管内乳頭粘液性腫瘍などがあり、一方、内分泌細胞からは神経内分泌腫瘍(低悪性度または高悪性度のがん)が発生します。この中で浸潤性膵管がんは膵がんの80%以上を占め「性質(たち)が悪い膵がん」を代表する膵腫瘍です。
すい臓がんにも色々な種類があります。
父の場合は、膵尾部に出来た浸潤性膵管がんというもので、発見した時には膵管が閉塞した事で炎症して上腹部に痛みを感じていました。
膵管の拡張は膵がんの重要なサインの一つです。また、膵管の内部の圧力が上昇し、膵臓に炎症がおこります。これを随伴性膵炎といい、随伴性膵炎により腹痛や発熱を伴うことがあります。
遠隔転移は肝臓と肺にしているものの、そちらの機能が低下するほどの進行はしておらず、膵液が十二指腸へうまく流れない事による食欲不振、体重減があります。
転移した肝臓のガンはそんなに大きくないですが、現在は腫れた膵臓が原因なのか黄疸が酷くなってきました。
肝臓から総胆管という管が膵臓の頭部を貫いて十二指腸に流れており、肝臓で作られた胆汁という消化液を十二指腸に運んでいます。膵がんにより胆管が圧迫されることがあり、胆管への圧迫が進むと、胆汁の流れがさまたげられ、全身が胆汁により黄色くなる黄疸という症状が出現します。
病院を選ぶ時間もない【悪液質の進行の速さ】
末期だと宣告された日は、本人は「少しお腹が痛いだけなのに・・・」と納得がいかない様子でした。
セカンドオピニオンを希望し、色々な病院へ確認しましたが予約を取れるのが最短でも1週間後との事。
仕方なく何の治療もせずに自宅待機をして、1週間後に他院へ行くのを待つことになります。
しかし、余命3ヶ月といわれていたのですが容態が急激に悪化、悪液質の状態になった為に最初に診断をした総合病院へ連絡、即日入院となりました。
これは本人が腹痛を感じ始めてから、2週間とたたない間の出来事です。
膵臓がんの末期では肺、肝臓、骨などに転移したり、膵臓の周りに広がったりしています。がんが広がると身体に影響が現れ、悪液質(カヘキシア)と呼ばれる状態が引き起こされます。
- 常に倦怠感につきまとわれる
- 食欲がなくなり、食べたとしても体重が減っていく
- 身体のむくみがひどくなる
- 意識がうとうとする
悪液質は身体の栄養ががんに奪われ、点滴で栄養を補給しても身体がうまく利用できない状態です。気持ちの面でも、思うようにならない身体に対して不安が強くなり、苦痛が増強します。
父の場合、入院はしたものの血液検査の炎症の値が悪く、すでに抗がん剤などの薬剤を投与できる体力も残っていない状況でした。
すい臓がんは消化器系のがんの中でも、腫瘍がそんなに大きくなっていなくても悪液質が起きやすいようです。
ですので、臓器が腫瘍によって機能しなくなるというよりは、体力が奪われてなんの治療も出来ずに容体が悪化してしまうのが多くの死因のようです。
膵臓がんが、【見付かった時には死が確定したようなもの】としてイメージされている原因は、主に2つです。
①初期は痛みを殆ど感じず、腫瘍が小さくても転移しやすい
②重要な消化器系につながっている為、悪液質の進行が早く予後不良になりやすい
実際に、ガン全体で亡くなる方は減少傾向にあるのに膵臓がんは発見と死亡率がほぼ同じなのだそうです。
発見から5年の生存率も、多くのガンの中で特に低くなっています。
早期発見の重要性
膵臓がんは痛みを感じにくいので、早期発見がとても難しいそうです。
ある程度ガンが大きく進行してから、周りの臓器の神経に触れて痛みを感じるのです。
膵体尾部(膵中央~脾臓寄り)にがんが発生すると腹痛や背部痛などの痛みを感じる事があります。これはがんが近くにある神経節に浸潤する事が原因とされています。
通常のエコーでは胃のガスなどに隠れて、膵臓の尾部までは良く見えません。
ですが、膵臓がんの発見を目的とした詳しい検査で、異常がないか発見していくことで将来ガン化するリスクなどに気付けるかも知れません。
次の二つの異常が超音波検査で見つかった場合には、見つからない人に比べ、すい臓がんになる危険性は約27倍高く、異常がどちらか一つだけでも、危険性は3~4倍高くなるとしている。
(1)主膵管の直径が2・5ミリ以上(通常2ミリ以下)
〈2〉膵臓に直径3センチ以下の小さな袋がある
膵臓がんは、ピロリ菌と胃がんの関係の様にハッキリとした原因は分かっていません。
糖尿病に関係するインスリンをつくる臓器でもある膵臓は、ガンになると糖尿病の様に血糖値が不安定になる事もあります。
暴飲暴食を長く続けた訳でもないのに、急に血糖値が高くなったりした時は要注意かも知れません。
- 喫煙
- 多量飲酒
- 病気(肥満、糖尿病、慢性すい炎など)
- 家族(血縁)にすい臓がんになった人がいる
ストレスで膵炎などを繰り返す人もリスクが高くなるようです。
父は、かなりの早食いでタバコも長い間吸っていました。
4年前には、胆石が原因で炎症した胆嚢を摘出しています。
胆嚢がない事で膵臓がんになった因果関係は無いと思いますが、その後も飲酒や揚げ物も控えてはいませんでした。
消化器系に負担をかける生活は避けた方が良かったのかもしれません。
ガンがわかる少し前、あばら骨が痛いんだと言って整形外科に行っていました。
そこでレントゲンも撮っていたのですが、残念ながら骨に注目していたのかガンは発見してはもらえず、筋肉の炎症だろうと湿布薬が出されたのみです。
「おそらく1年以上前からガンは育っていたでしょう、あばらの痛みも、神経に浸潤した為だったと思われます。」
現在の担当医は、本人がショックを受けない様に母にそう伝えたそうです。
通常の健康診断ではなかなか発見されない膵臓がん。
専用のMRIや詳しいエコーなど、自費にはなりますが家系的に心配な方はぜひ受けるべきだと思います。
みなさんも早食いには気をつけて、検診はこまめに受けて下さいね!
ではまたー(≧▽≦)